今月は、最近オープンしたロンドンのアート展をや、魅力的なディナースポットのレビュー、ロンドンで6月に最も美しいお花が見られるとっておきの場所などをご紹介します。
この6つのハイライトは、長かった冬から、一気に誰もが浮足立つようなロンドンの6月の爽やかで暖かい気候と長い夜(やっと!)を楽しむための旅へのお誘いでもあります。
1. Fashioning Masculinities: The Art Of Menswear at the V&A
”ファッション・マスキュリニティーズ” - ザ・アート・オブ・メンズウェア
展示は3つのエリアに分かれており、まず、印象的な古典ギリシャ・ローマ彫刻の展示室「Undressed」で、男性的な身体像を検証します。彫刻は空間を圧倒し、男性の体格に関する考え方や、時代を通しての進化を検証するよう、私たちを誘うのです。これは、膨らんだ綿のブルマから90年代の、象徴的なMy Calvinsの広告まで、歴史を通じて男性の下着をテーマにしていることとうまくリンクしています。「Redressed」では、デヴィッド・ボウイからビートルズまで、象徴的なツーピースの有名な例を取り上げながら、スーツの過去と不確かな未来を掘り下げます。「Overdressed」では、男性の身だしなみの儀式と派手さを探求し、歴史上の大げさな着こなしや、富と地位がいかに男性の着るものと密接に結びついていたかを詳しく見ていきます。
2. Barbara Hepworth
「抽象的な形と空間を作るために石を突き刺したとき、私は最も強い喜びを感じました。私は目に見えるものを描くことはほとんどありません。自分の身体で感じたものを描きます。私の作品は、私自身の過去と現在の模倣なのです」
バーバラ・ヘップワースは、男性優位の環境の中で多作のキャリアを築き、モダニズム彫刻の象徴となった真のパイオニア。美しい田園風景の広がるイギリスのヨークシャー地方ウェークフィールドに生まれた彼女は、リーズ美術学校に通った後、県の奨学金を得てロンドンの名門ロイヤル・アカデミー・オブ・アートに入学しました。パリを拠点とする抽象芸術運動 Abstraction-Créationに魅了され、それらは彼女の初期の作品に多くのインスピレーションを与えました。1930年には、当時のモダニズム芸術の代名詞となった大きな穴のあいた人物を初めて彫刻しました。第二次世界大戦中はセント・アイヴスに移り住み、ペンウィズ芸術協会を設立するなど、コーンウォールの芸術家集団の中心的存在とりました。1975年に亡くなるまで、トルウィンのアトリエで制作を続けた。現在でも、木、石、ブロンズを使った堂々とした彫刻でよく知られており、代表作の多くはロンドンの街中あちこちに展示されています。
Monolyth Empyrean Hampstead Ln, London NW3 7JR
Winged Figure 300 Oxford St, London W1C 1DX (John Lewisビルの壁面)
3. Sky Gardens
スカイガーデンズ
ロンドン・スカイガーデンズを訪れて、長い夜とオレンジ色に染まる夕日を満喫しませんか?
アイコニックななwalkie-talkie building(トランシーバーみたいな形状のこのビルをロンドンっ子はこう呼んでいます)の上空にあるこの屋内庭園には、建築的に素晴らしい巨大な空間に、無数の熱帯および温帯植物が生息しています。
お食事と一緒に景色を楽しみたい方は、レストラン・バーを予約して、街全体を見渡す素晴らしい景色を楽しむことができます。
お食事は季節の料理と活気ある雰囲気で終日楽しめるDarwin Brasserieや、モダンで斬新な味わいのファインダイニングFenchurchからチョイスできます。イブニングドリンクは、3つのスカイガーデンバーで、独創的なカクテルや受賞歴のあるワインが堪能できます。
街を見渡す素晴らしい景色、緑豊かな庭園、すべてが忘れられないロンドン体験になること間違いなしです。
入場は無料ですが、見学には事前の予約が必要です。
1, Sky Garden Walk, London EC3M 8AF
1. Postwar Modern, New Art in Britain 1945-1965
戦後のモダン、イギリスの新しいアート展 - 1945-1965
Postwar Modern, New Art in Britain 1945-1965では、有名無名を問わず多くのアーティストを取り上げ、専門家がキュレーションしたコレクションを通して、第二次世界大戦によってもたらされた破壊と暴力の永続的な遺産を探求しています。
この展覧会は、テーマや時代背景が互いに類似している作品を集めて構成され、思慮深くデザインされています。
ジェーン・アリソンのキュレーションにより、ポーランド難民のフランシスカ・テメルソンなど、忘れ去られたアーティストの再発見が行われ、その絵画は、現在ヨーロッパで起こっている紛争から逃れるというテーマについて、心にしみるコメントを与えています。
ベーコン、フロイト、アウアーバッハ、コソフといった著名な画家も登場し、ヨーロッパに不可逆的な影響を与えた紛争期を旅するような、広大な展覧会となっています。
歴史上、このように多産な時期の感覚や雰囲気を捉えることができる展覧会はめったにありませんが、アリソンの専門的なキュレーションはまさにそれを実現しています。写真、彫刻、絵画のすべてが、破壊と喪失、そして再建と再生の複雑な物語を紡ぎ出しています。
6月26日(日)まで
Silk St, Barbican, London EC2Y 8DS
5. Rita's restaurant Soho
リタズ・レストラン・ソーホー
イースト・ロンドンのレキシントン通りに移転したRita'sは、ピリッと辛いアイスマルゲリータと、アメリカの伝統的な料理を新鮮かつ独創的にアレンジした料理 が有名なレストラン。
2012年以来、Rita'sは何度も生まれ変わりましたが、ソーホー店は、ニューヨークのクールさを残したまま、温かく大人な雰囲気に包まれています。かつてダルストンでオープンしたこの店は、シェフのガブリエル・プライスと飲料鑑定家のミッシー・フリンが考案したもので、アメリカ風の料理と大胆な味の組み合わせへの愛情を注ぎ、美味しくてユニークなものを作り上げました。
ハーブ入りガーリックバターがたっぷり塗られたガーリックブレッドは、ロンドンのフーディたちの間では伝説とされています。
メイン料理には、鯖の炭焼きや 豚の角煮を連想させるポークチョップなど日本人にも馴染み深い雰囲気の料理があります。デザートのキーライムパイは絶対に試す価値あり。
次回は絶対にお腹をすかせて他のメニューも食べようと自分に誓うのです。
49 Lexington St, Carnaby, London W1F 9AP
Kew Gardens
キューガーデン
6月のロンドンには、まだまだ美しい花々がアチラコチラにたくさん咲き乱れています。
そんな中でもキュー王立植物園は絶対に訪れたいイギリスらしさを感じられる広大な植物公園のひとつ。咲き誇る牡丹や薔薇の花の中を散策するにはまさに今が最高の季節です!
森の中で迷子になりながら、小道をぶらぶらと歩き、頭上に広がる森の木々に目を奪われるのもいいでしょう。庭園は広大で、プリンセスオブウェールズコンサバトリーという名前の大きなグラスハウスは圧巻でロンドンにいることを忘れてしまうほど。
園内にはカジュアルなティールームやレストランもありますが、ピクニックマットを持参すれば、完璧な初夏の午後のひとときを過ごすことができるでしょう!(天気が良いことを祈ります)
また、毎年夏の夜にはこの広大な植物公園で毎週開かれる野外コンサートも名物の一つ。事前にピクニックバスケットを予約すれば、ちょっと贅沢なアペリティフやケータリングが提供されます。昼間の植物園とは違ったちょっと贅沢な大人のピクニックを楽しめます!
Kew Gardens Victoria Gate TW9 3JR
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初夏は日照時間も長くなり、イギリス人が最もはしゃいでしまう季節。
特別なところに出かけなくても街中に美しい自然や建物がそこかしこにある。
人工的なプラスチックの色や、似て非なる偽物の素材だったり、機能と言う名の利便性とコスト意識が美を優先してしまっている虚しい景色に疲れた脳内スケッチブックのページをきれいな真新しいページにFIXしてくれるような。
なぜロンドンに住んでいるの?
と聞かれた時、今更ながら理由を考えてみたら、やっぱりコレしかない。
ビジュアル派の皆さん、またそろそろエフォートレスでシーンを選ばないCOGのお洋服をスーツケースに詰め込んで脳内スケッチブックFIXの旅に出てみませんか?
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